「夢」 蓼川
そうこうしている内に 黒澤明監督の映画「夢」の舞台となった水車小屋が見えてきた
その支流の蓼川（たてかわ）に寄り道をしますとの事
「さぁ〜 前漕ぎ〜 イッチニッ イッチニッ」 万水川よりは流れは緩やかだが
それでも合流地点でもあり 流されまいと支流にのせるので必死っ
観光客の視線もなんのそのっ ふ〜うっ 疲れた・・・
んっ？ おれ達と似たやつらがいるぞっ
「あれは クリアボートで川底が見える?・・・っと思います」 受付テントにスゴイ列が見えた
この旅を企画した当初は アレに乗ろうとしていたっけ・・・
危っぶね〜 こっちの方が数千倍楽しいし
「ではもっと綺麗な川で遊ぼうと思います」 その前に全員で記念写真っ
川に残ってみんなのカメラの撮影をしていたクマさんは取り残される
ボートが万水川へ出ようとする瞬間 「前漕ぎ〜っ」
危なく キャプテン不在のまま流されるところだった・・・
「ではこれからジャングルに入ってゆきます」
川幅は同じくらいだが流れも速く 水面の凹凸も増えワクワクしてきた
蛇行する川を漕がなくても その蛇行通りに流れてゆく
「ウホホッウホホッ」 突然サルが吠えた まさにジャングルクルーズ
みんな 『えっ？ナニナニ？』 っとキョロキョロしている中でオレだけ見えた人の顔
言うんじゃなかった・・・
「アノ時の鳴き声は本物だよねっ」 って後から言えれば楽しかったはずなのに
そしてクマさんの 「雇ってないですよっ」 「こんなの初めてです」に助けられた感じがした
しかしこんな奥深くに何をしに来た人なのだろう？
突然マネをしようと思っても あんなに上手に出来ないよっ
前方に枝が下に伸びているところが数ヶ所見えた 吸い込まれるように近づいてゆく
「はいっ かがんで〜」 かがんでギリギリ通過
大したことではないのだが ちょっとしたアクシデントが面白い
みんな目を丸くして互いの顔を見合う
一つの出来事を共有し合える なんとも言えない感覚を覚えた
前 / 出航 万水川 に戻る 次 / わさび農場からの支流 に進む
